こんにちは、yukinoでございます。 先日アナウンスさせていただきましたように、当サイトは移転いたします。 新しいサイトが完成いたしましたので、皆様にご報告差し上げます。 URL【http://twinklestars1102.wix.com/kamihiko-ki】 上記からアクセスしてく…
話の更新を楽しみにしてくださっていた方がいらっしゃいましたら、大変申し訳ございません。yukinoでございます。 今回は今まで書いてきた短編、中編のあとがきを掲載したいと思います。このブログは作者が二人おりますし、それぞれがどんな思いでひとつずつ…
秋も深まり冬の音が微かに聞こえてくるこの頃は、どうしても人恋しくなる。久しぶりに取れた連休をこの日のために死守して、お洒落好きなレオンと並ぶために少し服を買い揃えるためにそのうちの一日を当てた。だが一人では心細く、センスがないのを知ってい…
”リゲル1、こちらいま着地。ターゲットへ向かいます”ザザ、という無線のノイズが耳に障る。 「キャプテン、ヴィンスさんたち着地したようです、オレたちもそろそろ」 ウィルが輸送機内の後部座席から声をかけてきた。レイフはパイロットであるバイロンに目配…
ウィルがT-SATに来た秋から一年が経った。レイフはデスクに向かいながらウィルの最新の成績情報をパソコンで眺めながら思う。いつからか、ウィルは達観した風な様子になった。それはレイフだけがそう感じているのか、それとも周りもそう思っているのか、定か…
アダムといるときの月はより一層綺麗に見える。本当に苦しい毎日の闘いの中でも、こんな夜を過ごせるなら長く続いてもいいと思えるのだ。そよ風に草木が揺れ、乾いた音が二人を包んだ。「いい夜ですね」「…そうだな」二人は夜間警備に当たっていた。部隊の仲…
"率直に言うと、気持ちの整理がついていないときのほうが楽だった。落ち着いて自分の余計な気持ちを片付けてみると、こんなにもピアーズが恋しい。" 久しぶりに日記を綴ろうと思ってしまったのは、きっと報われない恋の副作用だ。クレイグはソファに腰掛けて…
久しぶりの二人での食事を終えると、フレディは立ち上がってコーヒーを入れた。今日は少し疲れているようだから、柔らかめのカフェオレにしよう。マグカップを用意していると不意に後ろから腕を回された。 「フレディ、ありがとう。すごく美味しかったよ」 …
”ピアーズへ この手紙が届く頃には、ヨーロッパから帰ってきているでしょうか。 俺がこの先、第二のライフステージを過ごすことになるドイツは、お前のそのプランに含まれていたかな。俺はこれから、親父の学んだ大学に通うことになる。留学という名目だが…
翌朝は思っていたよりすっきりと起きられた。眩しい朝の光がウィルを照らす。冬の朝陽は弱く、温度も低い。ウィルは布団から出るとそのまま歯を磨いて顔を洗った。もう頭の中で今日一日のプランを考えている。 午前中に買い物を済ませてそれから支部でトレー…
それからは物事がスムーズに進むようになった。訓練もエリオットが言うようにあれからすぐに慣れてきて、レイフにも褒められるようになった。 「今日、隊長に褒めてもらえたよ。最近調子いいなって」「よかったじゃない」「…セシリーのおかげだ」 そういって…
「ウィル!遅いぞ!!」「ハイ!」 陸軍の訓練時代は得意としていた基礎訓練も、S-SATの中では全く歯が立たなかった。入隊してから一ヶ月が経とうとしているのに。 「もっと早く!そんなんじゃ敵に追いつかれる!」「ハイ!」 後ろからレイフが発破をかける…
※「アイデンティティーを刻む」の続きです 「今日からトロイア支部、レグルスに所属されることになったウィルフレッドだ。自己紹介を、ウィル」「ハイ。元陸軍特殊部隊第一小隊所属、本日からS-STAトロイア支部レグルスに入隊しましたウィルフレッド・ブラッ…
呼び出したはいいものの、何をしたらいいのかわからない。なんと言えばいいかも正直考えたけどいい言葉が思いつかなかった。ただ、ブレントのあんな言葉を聞いたらいても立ってもいられなくなったんだ。 シャワールームから引き上げると、脱衣所にはダニエル…
大学が長い春休みに入り、ピアーズは一層建築学の勉強に力を入れることにした。春休みのうちに色んな建築を見、歴史を知り、自分らしい意匠設計にたどり着くための材料を得たい。クレイグが自分を認めてくれている、信じてくれている、そう思うと苦手な構造…
「あのさ、ブレント」 後ろから急に声を掛けられて、自分でも情けないくらい肩が震えた。ゆっくり振り返ると、オレが待ち焦がれていた顔。 「…キャプテン、びっくりしましたよ」「ああすまない」 キャプテンは少し気難しい顔をしていた。まあ、それはそうだ…
ロッカールームからはチームメイトの賑やかな声が聞こえてくる。その中にブレントもいるようだ。同僚といるときのブレントは明るく愉快で、戦場で見る厳しい表情のブレントとは全くイメージが違う。まあそんなギャップに惚れたのだけど。 「訓練だりー。暑い…
同じ飲み会に出たのは久しぶりだった。まだ片思いだった頃に一度、ベネットが来るからというので仕事そっちのけで直行したのもいい思い出だ。課の皆の顔が上気して赤くなり始めている。今日は早めに仕事を終わらせると言っていたのに、アイツはなにをやって…
「あまり銃声も聞こえませんね」「まだ互いの様子を探っているんじゃないか?」ナイトビジョンを装着しながらウィルが囁く。ナイトビジョンであれば暗闇でも敵がいれば白く浮き上がって見えるが、それもない。レイフも裸眼であたりを伺っているようだ。「ウ…
久々の二人での夕食に心が沸き立つのを感じる。最近は仕事が忙しく、悠々と食事を取ることすらままなかなかった。 包丁の切れ味はいい。丁寧に皮を剥かれた野菜を一口大の大きさに切り分け、鍋に放り込んだ。 不器用な上司は、よく料理なんてできるな、と苦…
――――「本日このような合同訓練の機会を与えて下さったレイフ・ベックフォード隊長に感謝して、挨拶の締めとさせて頂こう」 陸軍中部支部長の挨拶が終わり、合同訓練の時間が近づくにつれて一層訓練生たちの熱気が上がっていく。ウィルはそれを肌で感じて、自…
ウィルフレッドの所属する陸軍の全日射撃訓練は初秋に行われる。防弾チョッキやヘルメット、夜間の射撃に備えてナイトビジョンスコープを取り付けたM16やFN FALライフルなど実際の装備と地図を持たされ、バディと共に林間に放り出される演習訓練である。弾は…
「お前もう寝る?」「うん、眠いし。まだ勉強すんの?」「どうしようかと思って」「いいよ、オレ明るくても寝れるから。あーでも上で寝るからあんま関係ないか」 ピアーズはそういって背伸びをした。2時間に渡るゲームで萎縮した筋肉を伸ばしている。 「…い…
「なあクレイグ!回復持ってる?」「はいよ」 画面の中で、クレイグの使用キャラがピアーズの使用キャラに回復アイテムを使う。 「助かった。サンキュ。敵強いな」「向こうの衛生兵がまた厄介だな」「うん」「あとお前もう少し物陰に隠れたほうがいい、正面…
―――「お前今週も土日来るだろ?」そう声をかけられたのは、ジムの隣あったランニングマシーン上を走っていた時だった。いつもピアーズは耳にイヤホンをつけて走るから、トントンと肩を叩かれイヤホンを外した途端のことだ。 「ああ、別に他の予定もないし」…
クレイグの細い指がダートをつまむ。そして鋭い眼差しで的を射た。 「ナイス」「サンキュ」「相変わらず何やらせても器用だねえ」 クレイグの友人の一人であるサイモンは、医学部で、いつもクレイグと授業を受けているらしい。クレイグが放ったダートの刺さ…
「クレイグ?どうしたの、気分でも悪い?」 シェリルがクレイグの額にそっと触れた。クレイグがゆっくりと瞼を開く。今日は二人でクレイグの家で勉強することになっていた。朝、確認の電話をしたとき少しバツが悪そうな様子だったのはこのせいだったのだろう…
―――ピアーズが遅くなったあの日。クレイグは講義中にあったピアーズからの不在着信になんとなく嫌な予感がして、ピアーズがいつも通る校門の前で待っていた。勿論家にも行ったが電気はついていなかったし、何より几帳面なピアーズが、クレイグの折り返しに応…
ピアーズは辛うじて歩を進めた。もうすっかり辺りは暗い。思い出したくないのに、教授の顔が、あの狂気に満ちた目が、触れてきた繊細な手指が、思い出されて仕方なかった。涙がぼとぼとと地に落ちる。 「ピアーズ!」 聞き覚えのある愛しい声にピアーズがは…
"もしもしピアーズ?今日、行く?"「行くよ。四時限目終わったら行く」 三時限と四時限の間に、クレイグからかかってきた電話を取った。今夜は一緒にジムに行くのを予定していたから、それの話だろう。 "なら先行ってて。俺四限目終わってから教授の手伝いし…